1人が本棚に入れています
本棚に追加
もしかしたら、爆発するかも。そんな可能性もあった。だけど、人々の注目は箱の中身にあった。毒ガスにしろ、強力な爆弾にしろ。危険性よりも、贈り物として届けられた箱の中身に全ての関心は向いていた。願ったものでなければ、それはそれで星との交信をやめればいい。
ところが、人々の予想に反して、箱の中には何も無かった。箱の中は何層にも区切られた造りと仕切りで中が分けられていたが、中には何もなかった。慎重に箱をバラバラにしていったが何も出てこない。箱自体に希少な金属が使われていたのか。箱を調べてみたが、宇宙の温度に耐えられるぐらいの金属であって地球で使われているもので、そう珍しいものではなかった。
人々はがっかりした仰々しい箱が送られてきたので、どんなモノが入っているのか期待したというのに。中身が空っぽでは意味がない。どこかに落としたかと思ったけれど、箱は開ける時まで密閉されていたので、中身が落ちたとは考えられなかった。
これだけ、期待をもたせおきながら中身がなかった。それなら、不謹慎かもしれないが、毒ガスや爆弾が入っていた方が、まだ刺激的であったというのに。
数日後、宇宙人から連絡が入る。自分達が送った贈り物はどうだったかという、質問であった。
「箱は届きましたが、これはいったい、どういうことですか?詳しく、箱の中を調べてみたのですが何も入っていませんでした。もちろん、箱そのものも調べましたが、同じく何も発見できなかった。もしかしたら、何かの不手際で贈り物を届けそこなったのですか?」
そのような旨をまとめて、宇宙人に対して送信する。どんな意図があって、空っぽの箱を送っていたのか、分かるだろう。
しかし、数日後の返信を聞き人々は顔を真っ青になる。
「箱?おかしいですね。私達は、そのようなものは届けていません。お届けしたのは、私達の星の文化を収めたコンピューターを搭載した宇宙船だったのですか。その中には、地球では、まだ開発されていない最新の宇宙船のモデルや病気を治す方法や、不老長寿の手段など様々なことを保存しておいたのですが」
後悔したところで、一度壊してしまった最新鋭のコンピューターを搭載した宇宙船は元には戻らない。
最初のコメントを投稿しよう!