side-K

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 延々と続く校長のどうでもいい話を聞き流しながら、息苦しいほどに暑い体育館でぼんやりと思い出すのは、早川が怯えて逸らした顔だ。  そんなにも傷付けたのだろうか。あの日、何もしていないと思っていたのはオレの都合のいい幻想で、本当は欲望のままに裸に剥いたのだろうか。  背の順で並ぶ全校集会だから、早川はオレよりも5、6人前に立っている。制服姿なら特別華奢にも見えないのに、浴衣姿の早川はなんであんなにも華奢に見えたんだろう。  そんなことをつらつら考えていたら、ぽん、と肩を叩かれて大袈裟に肩が揺れた。 「柏木?」 「っ、くりした……」 「なんだよ、立ったまま寝てたのか?」 「そんなんじゃねぇよ」  周りが動き出すまで始業式が終わったことにも気付かずに、早川を見ていたらしい。  驚きにバクバク鳴っている心臓が痛い。  今日1日で心臓がすり減りそうだなんて情けなく苦笑いしたら、いつも通りを装ってバカな話で盛り上がりながら教室に戻る。  体育館を出る間際。  人波に逆らって、す、とオレの横を抜けていった旭が、早川の傍で立ち止まったのを視界の端に見つけて。  やっぱり、なんて諦めるのと同時に胸が痛むんだから、オレも大概諦めが悪いなと呆れるしかなかった。
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