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「はやと?」
「動いちゃダメ」
「?」
「イッちゃうから」
「はやと」
「ダメ。しゃべんないで」
「ふっ」
「──ダメって!」
「え?」
そっと嬉しくて笑ってしまったら、とくとくと後ろに埋められたそれが、震えたのが分かる。
「……はやと?」
「だから、動いちゃダメって言ったのに」
今まで一度も聞いたことのないような情けない声でぼやいた隼人が、ちょっと出ちゃった、としょんぼり耳元で呟くのが愛しくて可愛くて。
ぎゅっとその躯を抱き締めて、胸に顔を擦りつける。
「ちょっ、咲哉!?」
「かわいい、はやと」
「なっ」
「──だいすき」
「────っとにもうっ」
「わっ!? ちょっ、まっ──あぁあっ」
怒ったみたいな顔でいきなりズルリと腰を引いた隼人が、抜けるギリギリで引き返してまた奥へと打ち付けてくる。
「まっ……って、はや、とぉ」
「まてない」
「はや」
「なんであんな可愛いことすんの、反則」
「はんそく、って……っぁ」
「も、むり。どんだけ我慢したと思ってんの」
「まっ……って」
「なのにあんな可愛いこと。オレのこと、どんだけ煽ってんの」
「は、ぁっ、やとッ」
「──全部」
「ぜん、ぶ?」
「全部。出し尽くすまで、止まってやらないから」
「まっ──ンッ」
一度も乱暴にしなかった隼人が今になって急に獣の顔して、オレの全部を貪るみたいに腰を動かす。
オレの顔の両隣についていた手は、いつの間にかオレの躰を這うように撫でながら、オレのスイッチをまた端から端までひとつずつ全部をオンにしていく。
一番わかりやすいスイッチもしごくみたいに責め立てられて、声と息が続かない。
「イぁっ……はやとっ……はやとぉ」
苦しくて叫ぶ声も無視してオレを攻め続ける隼人が、嬉しそうに笑った。
「オレなしで生きてけないカラダにしてあげるから」
煽ったこと、後悔しても遅いからね。
意地悪い声が囁くのを聞いて、弱々しく震えた自分自身から少なくなった白濁がとろりと零れるのを呆然と見つめていた。
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