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最高裁判所のエレベーター前にいる実行班第三班の中から真っ先に古賀が笠松へ突っかかりに行くが、それを屑切に止められる。
「あ、あのっ!笠松創さんですよね!」
遠藤は自分が関係ないことを知って心の中でガッツポーズする。それを悟った笠松が横目で遠藤を見た。
「だから根暗て言われるんだよ。やぁ、屑切さんだね。それに古賀君と野茂君と京滋さんまで。任務、ご苦労様でした。」
屑切は古賀を野茂に任せて笠松に駆け寄り、彼の手を掴んだ。
「会えて光栄です!一度お会いしてお礼を言いたかったんです!」
「え、お礼?」
「はい!私、昨年の十二月二十五日に銀行強盗に襲われたところを、笠松さんに助けてもらったんです!」
「え、そうだったんだ。それは奇跡だね。」
笠松は屑切の熱い眼差しを受けている。その横を通り過ぎようとした遠藤は古賀に捕まった。
「あんた、遠藤さんっすか!」
「ん、ああ。俺は遠藤快だ。」
「じゃああんたを倒せば俺がトップだ!」
古賀は問答無用で遠藤へ殴りかかる。その一秒後、古賀は地面にうつ伏せに倒れていた。
「え!?」
「京滋さん。お疲れさまでした。」
遠藤は倒れている古賀の横を通り過ぎて京滋に歩み寄り、頭を下げる。京滋が何かを言おうとする前に野茂が口を開いた。
「貴方が遠藤快さんですか。僕達の上司ですよね。」
「そうなるな。」
「それじゃあ遠藤さんにたてついた古賀君はクビにしてください。」
古賀が驚いて起き上がる。遠藤は古賀を向いてため息をついた。
「申し訳ないが、人事権は神谷支部長にある。俺にはその権利が無い。」
「あ~、それは至極残念です。」
野茂は本当に悔しそうな表情で項垂れた。古賀が遠藤に殴りかかってきたため、遠藤は再び古賀を地面に打ち伏せた。
「京滋さん。本当にお疲れ様です。」
「ああ。どうだ、この班は。俺はこの三人を後の組織長の座まで成長させようと思っている。」
「それは面白いですね。ともなると、伊津野さんをこの三人が食らうんですか。それは楽しみにしています。」
笠松に絶賛の嵐をぶつける屑切真知世。遠藤に歯向かう古賀尊と、その古賀を恨めしく思う野茂将道。少し面白そうな予感を抱いた遠藤は少しだけ口角を上げた。
「京滋さん。楽しみにしていますね。」
エレベーターが到着する音が聞こえる。遠藤と笠松はそのエレベーターに乗って支部を出た。
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