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遠藤と笠松は家に帰るために日本支部の廊下を歩く。その道中で陸舘颯と大瀧歩美と遭遇した。陸舘は遠藤を見つけると勢い良く手を振り、歩美も二人へ頭を下げた。
「やっほー。お久しぶり~。」
「歩美さん、その後調子はどうですか?」
遠藤は大人びた歩美へ歩み寄る。体格は変わらないが、その表情は凛としていた。
「ええ。以前よりも楽しいです。」
「それは良かったです。颯も、小学校はどうだ?」
「ねぇ、聞いてよ。勉強が簡単すぎてとてもじゃないけど耐えられないんだけど。なんで日本には飛び級制度が無いのさ。」
「颯の学力は国立大学くらいにはあるからな。」
「酷くない?」
「頑張れ。」
陸舘はふてくされながらも歩美とこれからの日本について語り始めた。遠藤と笠松はそのまま神谷の下へ行き、簡単な報告だけを済ませて支部を出るために専用のドアへ歩く。
「創、雁真君についていつ歩美さんに伝えた方が良いと思う?」
「それを考えるのは僕達じゃなくて梶本さん達だよ。少しくらいゆっくりしようじゃないか。…それよりも、怖いのは桜桔梗の動きだ。諸岡君に関しては何もアクションを起こしてきてはいないけど、雁真君が生まれたらどうなるか分からない。」
「それは錐ちゃんにも言えることだぞ。何せ、未来では俺と結婚して遠藤葵が生まれるわけだから。」
「ぜっっっっったいに結婚させないけどね!」
笠松が遠藤の前を歩いていく。遠藤はため息をついて笠松についていった。
「俺も、お前と家族になることは死んでも御免だ。反吐が出る。」
笠松はそれを聞いて大きく頷き、そして笑った。そうしている間に二人はドアへたどり着く。だがそのドアの前に四人の人間が立っていた。
「遠藤。笠松。」
二人を呼んだ古谷京滋の傍に実行班第三班の姿があった。
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