遠藤快、高校篇 -誕生ー

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遠藤と笠松は最高裁判所から出ると直ぐに伊津野晃へ電話を入れた。電話に出た伊津野はそのまま携帯電話から姿を現す。 「やぁ、お疲れ。日本の視察は終わった?」 「特に第三班には念入りに。それでは、行きましょう。」 「はいはい。」 伊津野は二人を連れて狩人の本部へ瞬間移動する。本部はどこかの大陸の地下とだけ公開されているが、それがどこにあるのか詳しいことは極少数の人間しか知らない。 本部に入った三人はその足でそのまま本部の会議室のドアを開ける。そこには各組織の精鋭達が集結していた。笠松は、このメンバーの中に将来あの第三班が加わる姿を想像して少し笑ってしまった。 笠松が遠藤の斜め後ろに立ち、遠藤は一番の上座に座り、最後に伊津野が座って会議が始まる。 「それでは、第一回狩人定例会議を始める。」 遠藤は日本語で話すが、本部にいる能力者によってそれぞれの耳に母国語で届く。遠藤は机の上にある書類をめくり、それに合わせて笠松が現状説明を始めた。 「アジア支部、支部長神谷雄一郎。支部員数37名。調査班員の連携に難あり。アフリカ支部、支部長諱陽明。支部員数71名。各連隊の情報共有に難あり。ヨーロッパ支部、支部長マチルダ・フォン・シュトロイゲン。支部員数24名。良好。北アメリカ支部、支部長ユートミル・アラン。支部員数63名。良好。南アメリカ支部、支部長メイ・マテリアル。支部員数50名。能力の熟練に差があり。オセアニア支部、支部長ジョン・ハル。支部員数28名。良好。以上、報告を終わります。」 ヨーロッパ支部支部長のマチルダはニコニコと笑っている。周りにお花畑が浮かびそうな彼女の雰囲気とは別に、調査組織組織長のイ・ユンサルは笠松を睨みつけていた。 「例外についての言及は。」 「中華人民共和国に関してはアジア支部とアフリカ支部が、ロシア連邦に関してはヨーロッパ支部とアジア支部が合同で管轄します。その際の情報共有手段は各支部の支部長同士の取り決めで行います。また、南極や宇宙等特定の支部の管轄外での任務は対象者の出身地を管轄する支部、或いは支部合同チームでの任務となります。」
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