遠藤快、高校篇 -誕生ー

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笠松からの補足説明が終了し、ユンサルは舌打ちしてから遠藤の方を向いた。 「調査組織からの連絡事項だ。現在も能力発現の出所を探っているところだが、何も確証は得られていない。能力が発現する年齢、性別、職種、出身、種族、DNA、趣向、特徴、取得資格、家族構成、環境全てについて傾向は見られない。相関係数は零に限りなく近い。本部長、このまま引き続きこの仕事を続行しますか?」 「そうしてくれ。」 ユンサルは一回り以上も年下の遠藤や笠松に不敬の念と不満を抱いている。だが、隣に座っている伊津野晃には逆らえない。 実行組織組織長の伊津野晃は全体へ報告を始める。 「実行組織からの報告です。現在、全ての支部の全実行班が正常に機能しています。しかしやや難ありと言いますか、各実行班によってその実力が大きく異なっています。その現状を各支部で改善してください。」 「例えばどのように?」 伊津野の向かいに座るマチルダがニコニコとしたまま伊津野に問いかける。伊津野はマチルダの方を向いて答える。 「実行班総班長を各支部に付けました。その人の指導を仰ぐんです。今の所、総班長の役職は起きていません。彼らの仕事は実行班の管轄とフォローですから。なので、今のうちに彼らの指導を仰ぐべきだと思います。勿論、最終的な決定権は貴方にありますが。」 「うふふ、ありがとうございます。」 会議室には本部長と副本部長、そして各組織の組織長が集められている。そこに、マチルダとジョン・ハルが直接来ており、他の支部長はテレビ電話という形でこの会議に参加している。ここに入れる者は各支部の班長を束ねる本部の組織長と各支部長、そして本部役員しかいない。 遠藤は隣に座る副本部長を横目で見る。荘厳なその男は終始口を閉ざして傍観していた。 「次、医療組織組織長、報告を頼む。」 「はい。」 医療組織組織長の早田奈美は報告を始めた。 「医療組織から報告です。全班員の適性診断が終了しました。医療班の構成は各支部に任せますが、必ず三名以上は医療室にいるようお願いします。また、実行班との連携任務の場合、医療班の同行は各支部最大二名までとします。以上、報告を終わります。」
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