神様のいたずら

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今宵は満月。 新撰組屯所の縁側では、「花より団子、月見より酒」の幹部の面々による酒盛りが開かれていた。 「あひゃっひゃっひゃ♪」と、賑やかな笑い声とともに、恒例の切腹傷自慢と腹踊り芸を披露する原田左之助に大ブーイングが浴びせられている頃… 天界では、ある論争が繰り広げられていた。 神A「だから何度も言っちょるじゃろう! うちの孫にあんな軟弱野郎じゃ役不足じゃと!」 神B「そりゃーあんたんとこの孫はじゃじゃ馬娘じゃからなぁ。」 神A「じゃじゃ馬じゃのうて、天真爛漫の破天荒のちょっぴりお茶目な夢見るヤクザじゃ!」 神B「最悪じゃねぇか…」 神A「でも見た目べっぴんさんじゃて」 神B「それで再起不能になった男数知れず…」 神A「……まあ……孫より強く逞しい男なら…」 神B「そんな奴おれへんがなぁ」 神A「チッチキチー……って!そうじゃっ!」 普段は線で描かれたような目が、陸に上げられた深海魚程に見開かれ、思い付いたとばかりに立ち上がる。
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