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なかなか、興味深い話である。なるほど、先輩にも理想の死にかたというものがあるのか。これはきいておかなければならない。被害者の意志を尊重する殺害も、一考する価値があるというものだ。
「どんな死にかたですか。もしくはどう死にますか」
スプーンに手を伸ばした先輩から、パフェを遠ざけてきいた。それをきくまでは、死んでもらっては困る。
先輩はスプーンをしぶしぶ置いて、こたえた。
「例えば、死ぬ前に周囲のあらゆる人物を巻き込んで死ぬ」
「人間として最低の回答ですね。独りで死んでください。もしくは人知れず死んでください」
駄目だこいつ……早くなんとかしないと。やはりオブツ先輩はオブツ先輩だった。汚らしくけがらわしい、最低最悪のごみである。
こんな人間は早いところ駆除したほうがいいだろう。私は自分のところに引き寄せたパフェを先輩の方に戻そうとして、手をとめた。先輩が「もしくは……」と口を開いたからだ。
「もしくは、大切な人に殺される。というのはどうだろう」
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