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 授業をサボって外にでた私は、深呼吸してようやく落ち着くことができた。それでも跳ねあがった心臓はいまだにやかましく騒いでいる。熱くなった顔に手をあてると、なぜか口角があがっていた。  たぶん、嬉しかったのだ。  先輩が、私に殺されてもいいといった。私が先輩を殺そうという意思をもっていることを見抜いていたかどうかはわからない。それでも私は嬉しかった。  先輩を、今度こそ殺してあげよう。恨みや憎しみはないが、それとは違った理由で明確な殺意が今度はあった。  私が殺したとはっきりわかる方法がいい。目の前の私に殺されるのだ。  そうだ、首を絞めるのはどうだろう。私の顔と、先輩の顔がとてもちかくにある。もっとも先輩をちかくに感じ、先輩もまた私をちかくに感じる。そのなかで次第に意識が薄れていき、最後に見るのは私の天使のような満面の笑みである。  それはとてもいいアイディアのように思えた。  しかし、その101回目の殺人は結局のところ実行されなかった。  その前に先輩との関係性だったり、時間の共有だったり、そういったもののすべてが失われてしまったからだ。
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