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その日からありとあらゆる方法で先輩の殺害を企てた。
先輩にアパートにこっそり忍び込み、いつも飲んでいるお茶に青酸カリを混ぜた。
先輩が好きそうな形のホウ酸団子をつくり、冷蔵庫にこっそり置いておいた。
クリスマス用のアロマキャンドルに思いつく限りの有害な物質を混ぜこんで、プレゼントした。
しかし、先輩が死ぬことはなく、私の先輩殺害はすべて未遂に終わった。
青酸カリのはいったお茶は茶柱がたっているという理由で飲まれることはなく、どす黒く変色するまで神棚に飾られた。そして数か月後に捨てられた。
ホウ酸団子は思いのほかうまくいき、先輩はホウ酸団子を大量に摂取した。先輩は数日、腹痛に苦しんだが死ぬことはなかった。ホウ酸でゴキブリは殺せても、人間は殺せないということは後で知った。
アロマキャンドルは発想自体がそもそも失敗だった。先輩にはアロマを楽しむということをする人間ではなく、クリスマス用の包装すら開けられず、部屋の片隅でほこりかぶっていた。
そのほかにも、川につきおとそうとしたり、包丁がたまたま刺さるようにしむけたり、アパートから偶然にも出火がおきるようにしたりしたが、すべて失敗に終わった。
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