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「なにを書いているんだ?」  さて、記念すべき100回目でどう殺してやろうかと考えていて、先輩の接近に気付くのが遅れた。そのため、ノートを慌てて隠すような形になった。 「ん? 今、なにか隠したか」 「触らないでください。近寄らないでください。もしくは死んでください。セクハラで訴えますよ。裁判官には死刑を求刑するよう申し立てます。自首してください。もしくは死んでください」  先輩は鼻で笑って、椅子に腰かけた。テーブルをはさんで向かい合うかたちになった。 「わかってないな。セクハラで死刑になるはずがない」 「わかっていないのはオブツ先輩の方です。今の世の中、女性が有利なんですよ。私が先輩から猟奇的な性的暴行を数回にわたって受けたという証拠をでっちあげれば、死刑です。私に逆らわないことをおすすめします。もしくは死ぬことをおすすめします」 「しまった! 今の会話を録音するべきだった」 「すでに手遅れです。罪はまぬがれません。もしくは死はまぬがれません」 「弁護士を呼べ! 僕は無実だ。最後まで戦うぞ」 「その弁護士こそ、私の策略だと気付いたときがオブツ先輩の最後です。観念してください。もしくは死んでください」  そこまで言って、ようやく先輩は静かになった。観念したらしい。死ぬ気はないようだが。
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