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昼休みに、つばさは今朝の出来事を教室の隅で涼香と今日子に話した。
片倉は他のクラスの友人と昼は一緒にいるらしく、すぐに教室から出てしまっている。
「え~、片倉が?って言うか、昨日真ん前に座ってたんだ!」
今日子も、先日塾で目の前にいた花粉症の彼が、同じクラスの片倉だったという事に全く気付いていなかった。
「そうなんだって…。私たちの会話、全部聞かれてたみたい…」
「うわ、恥ずかしいね」
「そうだよ~」
昨日何を話していたのか、実はあまり覚えていなかったが、今日子と一緒に普通に本音の話しをバンバンしていた。
(何か、他にも片倉の気に触るような事、言っちゃったのかなあ)
考えたが、つばさには分からなかった。
涼香が小声で言う。
「でもさ~、片倉なんて、色んな女子からモテてるじゃん」
「そうみたいだね。まあ、あのルックスじゃそうだよね」
「付き合ってくれるって言うんだったら、乗っかっちゃえば」
そして下心のありそうな顔で笑った。
「え~。何かさ、裏がありそうじゃん。片倉」
つばさは朝の彼を思い出す。
いたずらっぽい笑顔は確かに魅力的だし、猛烈に女子にモテるというのも分かる。
でもそんな彼が自分を気に留めるなんて、そもそもおかしな話だと思う。
「とりあえずもう少し話とかしてみれば?片倉が何したいのか分かるかも知れないし。普通に考えれば、あいつの気まぐれだとしても、ラッキー過ぎる事じゃないの?」
今日子のその言葉に続いて、涼香も大きく頷く。
「そうだよ、だって、あの片倉だよ!あんなモテ男、付き合おうと思ったってなかなか難しいと思うよ~」
「同じクラスの男子だしさ、そんなヤバイ奴じゃなさそうだし。いいじゃんいいじゃん~!友達からでもさ~」
そんな今日子や涼香の片倉推し発言に負けて、だんだんとつばさの心も折れてくる。
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