3.なりゆきの初デート

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「ちょっと片倉!簡単に…触るの禁止!」 「なんで、彼女なのに」 「気持ちはまだ、全然『彼女』じゃないし!」 (うわ~ん、コワイよ、片倉…) 思わずつばさは片倉を睨んだ。 「じゃあ、ちょっとずつ慣れような。とりあえず、オレの事苗字じゃなくって、名前で読んでよ、冬唯(とうい)って。オレも梅田の事、つばさって呼ぶから」 「うぅ………」 「そのぐらいからなら、いいだろ?」 「わ、…分かった…」 何だか片倉のペースにはまって、丸め込まれている気がした。 完全に暗くなる前に、片倉はつばさを家まで送って行った。 帰り道、つばさは当たり前のように再び彼に手を取られる。 こんな風に家まで送ってもらった事も、つばさにとっては初めての経験だった。 男子と2人で手を繋いで帰る事も、2人でお茶した事も、…今日、片倉と経験した全ての出来事が、つばさにとって初めてだった。 (なんか、すごい強引なんだけど…) 不思議と嫌じゃなかった。 その日、遅い時間に携帯が鳴った。 彼に言われるまま登録した、『冬唯』の文字が画面に映し出されるのを、不思議な気持ちでつばさは見つめた。
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