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(ホント言うと、恋愛がしたかったんだよね…)
グイグイ来る冬唯の事を思い出す。
(恋する女の子に憧れてたんだけど…)
冬唯と自分の関係は、恋とは程遠い気がした。
(冬唯くんは、なんで私と『友達』じゃダメなんだろ…)
「分かんないな、モテ男の考える事は」
今日の放課後も一緒に帰る事になるのだろう。
(変なの…)
「今日、オレこのまま塾行くから、軽くなんか食べていい?」
「うん」
つばさは頷いた。
そう言えば冬唯と会ったのも、塾だった。
冬唯と数日帰ってみて、つばさは彼が結構キチンと勉強している事に驚いた。
ファストフード店に入り、とりあえず場所を取る。
「あ、あそこ空いたし」
窓際の、端のカウンター席が空いて、2人はカバンを置く。
「私もなんか食べようかな」
つばさも一緒にレジへ向かう。
ここ数日、冬唯におごってもらってばかりなので、さすがに自分の分は払った。
席に戻る途中でも、目立つ冬唯に女子高生の視線が集まる。
「冬唯くんって、結構マジメだよね」
「そう?なんで?」
ハンバーガーを食べる冬唯は、普通の男子高生という感じだ。
女子たちから好意的な感情を集めているその姿も、つばさにとっては少し違っていた。
格好いい男の子なのは確かだった、しかしつばさにとってはそれ以上でも無いというのが今までの彼の印象だった。
「放課後、すごく勉強しててビックリしたよ」
「ああ…まあ、勉強してるからイコール真面目って訳でもないでしょ」
「いやいや、マジメでしょう~」
改めて、彼の事を何も知らなかったんだとつばさは思う。
彼の事を全然知らないのに、こうして隣で普通に話している事が不思議だった。
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