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「『彼氏』との放課後デートってのも、だいぶ慣れてきた?」
「えっ?」
時折、冬唯はつばさに『彼氏』という事を確認するような事を言ってくる。
「彼氏っていうのはピンとこないけど…。冬唯くんにはだいぶ慣れてきたよ」
「ホントに?」
意外だ、という顔を冬唯はした。
「うん。なんかこうやって、2人でご飯とか普通にできる」
「普通ね…」
冬唯の手が伸びてくる。
「?」
つばさの耳をかすめて、冬唯の指がつばさの髪をかき上げた。
突然の冬唯の行動に、つばさは反応できずにただされるがまま、彼の動きを見ていた。
そして。
(えっ…!)
冬唯の顔が近づいたと思ったら、髪をかきあげられたこめかみの辺りに…
柔らかい感触。
「えっ…?」
今度は声に出していた。
近い彼の顔。
(この感触って…)
「ちょっとは、ドキドキした?」
近い距離のまま、悪戯っ子のような笑顔で冬唯は言った。
しかしその目は真っ直ぐにつばさを見つめてくる。
「えっ?えっ?」
(何、何?何した?今、何された?)
「何?足りない?」
冬唯はつばさの左手を取る。
そして指先に唇をつけた。
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