4.はじめての

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「………」 突然の事で、つばさは固まってしまう。 指にキスした冬唯の顔を、ただじっと見ていた。 冬唯はそんなつばさの視線に気づき、顔を上げる。 「どした?」 「冬唯くんって…」 「うん?」 「なんか、スゴイね!」 つばさは冬唯に対して、まるで珍しい物を見た時のように気持ちが昂っていた。 「え?スゴイ?」 予想に反したつばさの反応に、冬唯は戸惑う。 「イケメンって、ホントにこんな漫画みたいな事できるんだ~!」 唇では無かったが初めてキスされた事実より、目の前で起きたドラマのようなワンシーンに、つばさは興奮してしまう。 「な…、そんな風に冷静に言われると…」 冬唯は口ごもる。 恥ずかしがるとか、もっと女子らしい反応があると思っていたのに、素でそう言われてしまうと、バツが悪い。 (あれ、冬唯くん、照れてる…?) 自分からしておいて困ったような顔をしている冬唯を見て、つばさはちょっとドキっとした。 (あれあれ?何か可愛いんですけど…) いつも余裕たっぷりの彼の意外な様子に、嬉しくなってくる。 (意外に、普通の男の子なのかも…) そう思うと何だかホっとして、つばさはつい笑顔になっていた。 (何だよ…オレが恥ずかしいじゃん) 冬唯はつばさの手を離す。 屈託なく笑うつばさに、冬唯も釣られて和んでいた。 店を出て、そのまま塾へ行く冬唯と一緒に、つばさは駅まで行く。 「今日は送れないけど」 改札から少し離れたところで立ち止まり、冬唯はポケットからカードケースを出した。 「ううん、気を遣ってくれてありがと。冬唯くんも勉強頑張ってね。」 「オレ明日は都合悪いんだけど、日曜日は空いてる?」 「うん」 つばさは頷く。
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