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ゴールデンウィークも明けて、教室は再びクラス替えをしたばかりのような新鮮なざわめきで満ちる。
「つばさ~、この前言ってた合コンなんだけどさ」
シュッとした美人の涼香は、他校にも顔が広い。
「さすが涼香は話が早いよ~、いつ?いつ?」
つばさはこの休みの間に、伸びていた髪を肩より少し上まで切り、少しラフなボブにスタイルを変えた。
「つばさ髪型可愛いじゃん、短いのもいい感じ」
涼香はそう言いながら、スマホを操作する。
「同中の子がS高にいてさ、彼女欲しいとか言ってて…」
説明しながら、涼香はメッセージをスクロールする。
「へ~、合コンするんだ」
つばさの背後から、男子の声がする。
「へっ?」
振り向くと、そこには美形の男子がいた。
小さい顔に、高い身長。感じの良さそうな笑顔を浮かべて、つばさのすぐ横に立っている。
(うわ、何っ!朝からキラッキラ…!そうか、これが片倉か!)
彼の眩しさに、つばさは思わず目を細める。
(そう言えばこんな子、いたなあ、…あんまり気にしてなかったけど)
無意識に目つきの悪いまま、つばさは片倉をじっと見た。
「何、にらんじゃってんの、梅田さん」
片倉はつばさを軽く睨み返す。
(睨んでも、キラキラ~)
つばさは何とか、自らを普通の表情に戻した。
「ねえ、ちょっと、話があるんだけど」
片倉はいかにも女子の喜びそうな笑みを浮かべる。
それをつばさは、本能的にうさんくさいなと感じる。
「え?…は?誰に?」
「梅田さんに。ここじゃなんだから、ちょっと教室の外に来てよ」
「何…?」
片倉がドアへと歩き出してしまうので、つばさは仕方なく後を追った。
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