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「梅田さん、今まで誰とも付き合った事が無いんだったらさ、オレと付き合ってみない?」
「ええ?」
狐につままれる、と言うよりも、白昼に堂々と詐欺にあった様な気がして、つばさは思い切り怪訝な顔で片倉を睨んだ。
「何それ?何のつもり?」
キラキラ男の考えている事が全く分からない。
「梅田さんって、オレの事全然興味無いって言ってたよね」
「うん、その通り」
大体の女子が彼を想うように誤解されたくなくて、つばさは大きく頷いた。
それを見た片倉は少し笑う。
「でも、彼氏欲しいんでしょ」
「うん…、でもそれは」
「だったらオレと付き合えばいいじゃん。オレ、今彼女いないし」
(はあ……?ふざけてんの?)
彼が何かのバツゲームでもしているんじゃないかと、思わずつばさは周りを見回した。
「あのさ、私、悪いけど片倉くんの事、名前と顔も一致してなかったぐらいだし…全然知らない人にそう言われても」
「合コンで出会う人は全然知らない人じゃないの?」
「…それはそうだけど」
さっきの話を引き合いに出されて、つばさはとっさに反論できなくなる。
「オレも梅田さんの事、よく知らないしさ。お互い知らない同士、付き合うって形から入ってみるのってどう?お見合いみたいで面白いじゃん」
「ええ…」
(この男、恋愛に慣れ過ぎて、普通の相手に飽きちゃってるのかな…)
ますます彼に対しての不信感が増す。
「オレ、優しいよ。さっき誰でもいいみたいな事も言ってたじゃん。とりあえず初カレとしてオレを選んでみるって、ちょっと考えてみてよ」
戸惑うつばさとは真逆に、片倉は楽しそうだった。
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