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「えっと…、とにかく何で?何で私?
それに、何で急にこんな事言ってくるの?…ちょっと意味が分からないんだけど…」
つばさは逃げたいのに、角に追い詰められた格好になってしまう。
「うーん、オレと付き合うの面倒くさくって無理とか、オレの事知らないくせに、梅田さん昨日さんざん言ってたじゃん」
「う……」
(そう言われて見ると、本人の真後ろで、私すごい失礼な事言ってたんだ…)
「それは、ごめんなさい」
慌てて謝るつばさを気にせず、片倉はかぶせてくる。
「無理とかさ、付き合ってみなきゃ分からないだろ?」
「ええっ?」
つばさの眉間にしわが寄る。そしてキッと片倉を見た。
「なんで、そこからそういう発想になるの?マ…マジで何なの?」
「昨日、塾でそんな事言ってた子が、どんな子だったっけって思ってさ」
「……」
「学校来てみて顔見たら、だいぶオレの好みじゃん」
「はあ?」
顔が好みだなんて、つばさは男子から初めて言われた。
おまけに初めて言われた男子が、こんなキラキラしたモテ男だなんて。
「合コンで彼氏探すぐらいならさ、とりあえず、彼氏彼女ごっこでもいいから、オレで初カレ気分味わってもいいんじゃない?」
つばさのすぐ近くまで、片倉の顔が近づいていた。
男子と至近距離になる事自体、つばさは全く慣れない。
「ちょっと、近いし!」
「とにかく梅田さんともうちょっと話したいし、今日の放課後は一緒に帰ろうぜ」
「 え?え??」
つばさが戸惑っていると、片倉は笑って教室へ戻ってしまった。
(何なの、あの人……)
片倉が何をしたいのか全く分からない。
(イケメン過ぎて、ちょっと思考回路がおかしくなっちゃってるのかな…コワ)
つばさは彼に対してかなり引いていた。
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