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「……ちょっとだけな」
「わーい!」
杏里はその場でぴょんぴょん跳ねた。公園くらいで何がそんなに嬉しいんだか。おれは杏里と並んでブランコに座った。
「……なんだ、ギコギコやんないのか。好きなだけこげよ、ストレスたまってんだろ」
「やらない! そこまで子供じゃないもん」
社会人から見れば高校生なんて、どうみても子供だ。杏里だってまだ頬は丸いし、体型もどことなく子供っぽい。杏里はただじっとおれのことを見ていた。
「なに。子供扱いが不満?」
「違うもん。えっと……あのね……」
杏里は何か言いにくそうで、言葉選びに困っているみたいだった。
「なに、言いにくいこと? 人にここまで付き合わせといて受験やめるとか言わせないからな」
「違うよ! わたしが言いたいのは……その……尊、好きな子っている?」
杏里の頬は街灯の少ない夜の公園でもわかるくらい、赤くなっていた。
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