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「は。受験生のくせに何を生意気な。恋愛相談かよ」
「違ッ……そうじゃなくて……」
顔を赤くした杏里が、情けなく眉を下げる。その表情に正直、面食らった。ギャルだし男関係も派手なんだろうな、と勝手に思っていたのだが、この反応を見る限りどうやら年相応にウブみたいだ。
「相手は?」
「相手は……えっと……年上。1個とか2個じゃなくて、もっと上。てか社会人? みたいな」
杏里は落ち着かない様子で、しきりに自分の前髪を触る。
「は~? 何それ、やめとけよ。遊ばれるぞ」
女子高生狙う社会人なんて、だいたいろくでもないスケベに決まってる。
「……そんな人じゃないもん。優しいからだいじょーぶ」
「ばか。男はヤリたいから優しくするんだって、いちいち真に受けるな」
杏里は勢いよくブランコから立ち上がった。夜の公園にガチャンガチャンと鎖の音が響き渡る。
「そうなの!?」
動揺した杏里は両手で口元を押さえている。
「は、首まで真っ赤。そうそう男はそんなことばっか考えてるんだよ」
(ちょっと脅かしとくか……)
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