9人が本棚に入れています
本棚に追加
「……prove……証明……する?」
答えながら杏里がちらりとおれの顔をうかがう。
「はい、正解。次行くぞ。受験は夏が勝負だからな」
「observe……観察する……」
杏里は眉間にしわをよせて、鬼のような顔でおれが作ってやった単語カードをにらんでいる。
「正解。単語カードくらい1人でやれよ。さっさと終わらせて文法やれ」
「……スパルタ……アニオタ……」
「韻踏んだつもりか。早くやれ」
杏里のバカさ加減を不安に思った杏里の親が、おれに家庭教師をして欲しいと、おれの母さんに頼んだ。
おれは嫌だと言ったが、昔から杏里を可愛がってる母さんが勝手にオーケーした。
引っ越すまで実家で世話になる身としては……拒否もできず、生活費代わりだと言われて毎日勉強を見るはめになった。
最初のコメントを投稿しよう!