ぜんぶ夏のせい

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「……prove……証明……する?」 答えながら杏里がちらりとおれの顔をうかがう。 「はい、正解。次行くぞ。受験は夏が勝負だからな」 「observe……観察する……」 杏里は眉間にしわをよせて、鬼のような顔でおれが作ってやった単語カードをにらんでいる。 「正解。単語カードくらい1人でやれよ。さっさと終わらせて文法やれ」 「……スパルタ……アニオタ……」 「韻踏んだつもりか。早くやれ」 杏里のバカさ加減を不安に思った杏里の親が、おれに家庭教師をして欲しいと、おれの母さんに頼んだ。 おれは嫌だと言ったが、昔から杏里を可愛がってる母さんが勝手にオーケーした。 引っ越すまで実家で世話になる身としては……拒否もできず、生活費代わりだと言われて毎日勉強を見るはめになった。
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