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「――…そろそろ帰るか。23時だ。送っていくよ」
杏里は勉強に集中していたようで、おれが声をかけるとハッとした顔をしてボールペンを置いた。連れだって玄関に向かうと、母さんが後ろから声をかけてきた。
「杏里ちゃん、また明日ね」
「はーい! おじゃましました~。スイカおいしかったです」
「尊、ちゃんとマンションに入るまで見ててあげるのよ。お預かりしてる大事な娘さんなんだから」
「わかってるって」
サンダルをひっかけてドアに手をかけたら、母さんが杏里に声をかけた。
「杏里ちゃん。尊になにかされそうになったら――…」
「するわけないだろ。こんな三次元ギャルなんて対象外だ」
母さんが「生意気な子ねー」と呆れたように怒っていたが、その通りなんだから仕方がない。
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