「なんでころしてくれないの」

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「俺は『次期女王を殺せ』と言われているんです」  クランはそう言って頬から手を引く。  名残惜しそうに撫でていったのは、きっと気のせい。 「今はただのリーニャでしょう?そんな貴女に殺す価値があるとでも?」  そこに何の価値があるのか。  それとも、プライドなのか。  ………クランはよくわからない。 「じゃぁ、そうじゃない時はなんなのよ、なんで殺さないのよ」  いくらでもチャンスはあるはずだ。  そのつもりで、兄の策略に乗ってわざわざ一番近くにおいている。  かれこれ半年も。 「しかも、最近は矛盾してない?」  先月の毒殺未遂。  先週の暗殺者の撃退。  先日の狙撃手撃退。  クランは何だかんだと守ってくれる。  言い訳かもしれないが、死ぬ覚悟が決まらない要因のひとつ。
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