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「クラン、命令よ」
佇まいを正して、背筋を伸ばす。
『リーニャ』から一介の不憫なお姫様に戻る。
「その任務、必ず遂行しなさい」
クランは一瞬だけ思案にくれた顔をした。が、すぐに不敵な笑みを浮かべた。
「俺のプライドにかけて」
普通はそこで跪くでしょう。
ついでに手の甲に、服従のキスでもするんだろう。
でもクランは、跪かない。
不適な笑みを浮かべたまま、私を見下ろす。
だって、クランは騎士じゃないもの。
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