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思い出すのはあの時の事……俺が…俺になった日の事…
巨大な火炎魔法に吹き飛ばされ、動けなくなった俺を見下ろす奴の目。
これはあの時の……、俺は夢を見ているのか?
奴は俺を見下ろして満足そうに微笑むと、俺の胸に手を突き刺した。
胸を貫かれる痛み、骨の砕ける痛み、夢とはいえ今でも鮮明に思い出せる。
胸から抜かれた奴の手で脈打つのは抜き取られた俺の心臓、痛みと苦しみの中で俺は自分の心臓を見ながら体が冷たくなっていくのを感じた。
「…オ……お…て……」
遠くから声が聞こえる…、奴のものでは無い声が…
これは夢、決して忘れられない夢、今とは違う、目を覚まさないと……
「レオ……、起きて!」
段々と浮上する意識の中で俺は最後に奴の顔をもう一度見る。
心臓を懐にしまい、この場を去ろうとする奴の、魔王の姿を…
「レオ!起きて!」
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