第二章 萌えたぎる運命的出会い

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「ちょっと!!ちょっと!!聞いていますの!?」  紅紗利菜(くれない さりな)。このような、どこぞの金持ちのお嬢様気質な縦撒きロールの美女は俺のクラスの委員長で本校の紅理事長の娘さんであり、俺の幼なじみだ。  こんな彼女に小さい頃さんざん振り回された。 『あなたは私(わたくし)の奴隷になりますのよ!おーっほっほっほ!!』とかお前漫画の読み過ぎだって思えてしまうほどそれっぽい台詞を常に吐いてたもんだ。  …まあ正確には奴隷という名のパシリだったけど。 「…ごめん、聞いてなかった」 「なんですって!?私がどなたかおわかりになって!?」  胸に手を当て険しい顔つきで俺を見るが、まあ俺にはその気迫は全く動じない訳でして。  小さい頃からこんなの毎回見せられたら嫌でも慣れるって。 「この学校の初代理事長でありその五代目の紅理事長の娘、紅紗利菜様です」 「分かっておられるのなら私の言うことを一言葉聞き逃すことはあってはならないことだということも分かっておられることでしょう!?」 「俺そんな役割担った覚えないけど」 「何故(なにゆえ)!?」 ガーンッ!!という効果音文字が背景に出て来そうな、九十年代の少女漫画にありそうな白目のショック顔になっている彼女を見て仕方ないなー、ともう一度言ってもらうようお願いを申し上げることにした。 「どーかあなた様のありがたいお言葉を一言も聞き取れなかったこのあわれな私の為に今一度先程のお言葉をお聞かせくださいませんでしょーか」 「棒読みのせいで謝罪感がまるでなくってよ!!?」 グヌヌ…と悔しがる彼女だったが諦めて俺の願いどおり、先程俺に言っていたことをもう一度話し始めた。 「今日父上が休日で久々に家族で家に過ごすことになりましたの。それもあって私の家で「久々の家族揃いましたDAY」ということでパーティーを開こうかという話が出まして」 なんだそのだっさいネーミングセンス。 「よろしければ和白(かずしろ)も…その…」 と、急にもごもご言い始め、体をくねくねし、言いずらそうな態度を取る。
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