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ー*ー
「ぱーちー?」
ゲームのコントローラーを忙しく動かす彼女、絹織はこちらを向かず、いつものように布団に包まり、返事をする。
「ああ、お前もずっとここでゲーム日和だと人としての感覚狂うだろ?たまには外の空気を吸って気分転換した方がいいぞ」
宿題が入っている封筒を机にパサッと置くと散らかった部屋にかろうじて座れるスペースがあったのでそこに腰をおろす。
「…つーか、本当お前散らかってても気にしないのな、掃除とかした方がいいぞ絶対」
「うるさい。主はワイのカーチャンでござるか?」
「ちげーよ、お前が異常なの」
ガチャガチャコントローラーを動かす音が聞こえる。テレビ画面を見ると可愛らしいモンスターと戦うヒロインを操作しているようだ。
今日はファンタジーものか。美少女攻略ゲームしかやらないと思っていたが一つ縛りしてるわけでもないらしい。
「そういえばお前、外でもそのキャラなのな。先公から聞いたぞ」
そう。今日放課後に宿題を届けようと自ら名乗り出たら先公から彼女について色々話してくれた。
『さすが斉藤だな、頼りになるよ。』
『いえ…』
『驚いたろう。彼女の実態を見て』
『はあ…まあ…』
俺は苦笑いをして適当に返事をした。
…その彼女にほの字になってしまったんですがね。
『私が行っても彼女は拒絶反応を示すから、同級生の生徒なら心を許すかと思いきや、むしろ生徒の方が拒絶反応を示してしまってな。このままじゃ埒があかないし、このまま人を拒めば、彼女の人としての性能が無くなってしまう。最後の希望としてお前に声をかけた。唯一彼女に向き合おうとしてくれる君になら彼女を孤独から救ってくれる。信じてるぞ、斉藤』
…なんか重大任務を任されてしまったが…彼女に会えるならそれでいいや、とポジティブに捉えることにした。
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