第二章 萌えたぎる運命的出会い

6/15
前へ
/62ページ
次へ
「よーし、着いたぞ」  俺は家とは言えない大きなお屋敷を前にふー、と息を吐く。 「ここっっここっこここここっっこっ…これがっ「あたしを愛して?ダーリン」のちいこエピソード一のちいこちゃその家に訪れる名シーンの現場でありますか…!!」 「違うけど」  鼻息を荒くして目をキラキラ輝かせている彼女、絹織紫小里は黒い何かのキャラを模したパーカーを着て俺の隣で興奮していた。  パーティーの主催者は同級生の女だと伝えると急に目の色を変え、お、嫉妬か?と思った俺はさらに彼女について詳細を教えると行きたいと嬉しそうに話すので、あ、これ違う、ゲーム絡みだ、とつまんなく思えたけれど、まあ結果オーライ、と彼女と触れ合える機会が増えたと捉え、絹織を紅の家に招待したところだ。 「主のガールフレンド、全くと言っていいほど、ちいこちゃそにクリソツなのでござる!!これは一つの運命!!遥か昔一万年と二千年前に交わされた約束を果たす時がキタのでござるな!!!」 「大昔過ぎじゃね?」 「ふう…これで我が輩の聖地がまた一つ増えてしまったな…」 「聖地って何」 「ちみぃ?…「聖地」も知らんでよくここまで生きてきたでござるな…」  あきれ顔で俺を下から目線で見る彼女。    とうとう俺自身の人生ごと罵倒される日がくるとは思いもしなかった。 「「聖地」とは我らが愛する者達がいた場所!!生活していた場所!!俗にいう観光巡りの有名スポット的なやつでござるな!!」 「へー」 「ふう…ここまで興奮したのはあの日…そう!恵美タソを完全攻略できた日以来でござる!!礼を言うぞ!!ガチムチ!!」 「気色悪い呼び名やめろ!俺の名は斉藤和白だ!!和って呼べ、呼びなさい!!」  と、さりげなく名前呼びを要求するも、ふー、と額の汗を拭う彼女には俺の声は届いていないのだろう… 「これから忙しくなるでござるな!!えーと…まずはここにカメラを設置して…」
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加