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「おい!部外者はねーだ…ないでしょう…」
俺はいつもの話し方で彼女を叱ろうとしたが、さすがにお偉いさん、しかも学校の理事長の前ではさすがにヤバいと思い、丁寧な話し言葉に変えた。
それを彼女は知ってか知らずか、にや、と笑うと続けて言う。
「部外者には変わりありませんわ。私がご招待したのは斉藤和白。あなただけですもの!!」
「ま、まあそうなんですけども」
ふん、と得意げに顔を反らし、絹織をキッと睨む。「ひい!」と情けない声を出し、その場に動けずビクビクしている彼女がそこにいた。
と、ちょうどいいタイミングで料理が運ばれたので
「おお!す、すごい料理ですね!!これなんと言う料理なのですか!?」
彼女、絹織から話題を反らそうとする俺。
「これは」とメイドさんが教えてくれようとしたが、
「アイナメのフリットですわ。和白ったら、こんな常識も知らないなんて!!恥知らずもいいとこですわ!!」
「………」
どうして俺の周りには自分の知識が常識的ものだと自信を持って言える奴が多いんだ…。
気まずい食会も終わり、早々帰ろうとしたが、紅の両親に引き止められ、なぜか彼女の部屋に招待されてしまった。
独り部屋とは思えない、30畳くらいはある広さで、もっふもふな高級感溢れる絨毯にゴージャスな家具が置かれており、まさにお嬢様の部屋って感じだ。
「………」
「………」
そんなゴージャスな部屋で、俺と紅はソファに座り、互いにだんまりしてただ時間だけが過ぎていく。
「…本当に、和白は変わらないですわね」
「は?何だよ急に」
彼女は申し訳なさそうに顔を俯かせ、ぼそぼそと話し始めた。
「こんな自己中女の傍にいてくださるなんて…。私といても気分を悪くされないのですか?」
今更感ありますけれども、と乾いた笑いを含みながら言う。
「まあそうだな。お前は本当捻くれてるからな」
びく、と肩を震わせる彼女。
「今更だと思うけど。そんな捻くれたお前とどれほど一緒に過ごして来たと思ってんだ」
「えっ」
驚いて俺の顔を覗き込む。
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