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「お前の悪態ももう慣れたっての、だから気にすんな」
呆れ笑いを浮かべて彼女を見ると、彼女は瞳をうるうるさせ、ふいっと後ろに顔を向ける。
そう、こいつが他人を貶すような悪態をついてしまうせいで孤立しやすい環境にあった。
たまにいじめられたりしてたけど、俺がそれを助け出し、悪態にも慣れた俺なら友達くらいにはなれるから、彼女に一人にしないことを約束したのだった。
「…やっぱり和白は…素敵な方ですわ」
耳を紅くしてそういうもんだから、なんだかこちらまで緊張してきたじゃねーか。
「………すばらしい再現力でござる」
「きゃああ!!」
ひょっこり彼女の背後に付いていた座敷童、ならぬ絹織は紅の首筋をくんくん嗅いでいる。
変態かお前は。
「いいところを邪魔してすまないでござる!いやしかし!!しかし!!しかーし!!」
何回言うんだよ。
「ちいこちゃそのそっくりさんがこんなに間近にいられたら我慢できないのも仕方ないと我が輩は思うのである!!」
「きゃああああ!!!」
紅はあまりにもの突然の出来事で、俺の胸に飛びついて来た。
「きーぬーおーりー」
「んなっ!!ちいこちゃそに飛びつかれるなんぞ羨ましいの山の如し!!」
「突然そんな変態的行動とられたら誰でも驚くっつーの、あと、ちいこちゃそじゃなくて紅な」
俺の胸の中で体をカタカタ震わせる紅。…突然弱られるとなんか調子狂うな。
「な、ななな、なんですの…!!あの汚らわしい存在は!!」
「お前も失礼なこと言ってやんなよ、絹織紫小里。お前と同じクラスメイトだぞ」
「はあ…今まで姿をみたことないので存じませんでしたわ」
そうか…。じゃあ一年次の彼女を知らないのか。
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