第二章 萌えたぎる運命的出会い

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 俺が寝床についた頃、絹織の方はというと、  ガチャ  風呂上がりだろうか、髪を湿らせていつもと変わらない服装の絹織がリビングに出て来た。 「あら~しおりちゃんじゃなあ~い」    彼女は冷たいまなざしで声の方を見る。  その視線の向こうには机にうつぶせになって酔いつぶれている女性がいた。 「……おかえり。……母さん」 「や~んしおりちゃん久々に出所したってのにつめた~い」 「………。」  彼女は無視して冷蔵庫に向かい、中にある飲み物を出し、自分の部屋へと早足でリビングを出て行った。 「……は~…」  カシュ  彼女、絹織の母親は机に山になっている酒の缶を一つ開け、グビグビとのどに流し込む。 「ぷっはぁ~~~っ!!やっぱ酒に限るわ~」  ひっく、としゃっくりをするも途端の孤独感に凹み、再び顔を机にくっつけた。 「…なんでこうなっちゃったのかなあ……」 ぼそりとつぶやいた彼女の声は誰にも届かず、虚しさが募り、酒でその虚しさを紛らわすかのように彼女はまたぐびっと缶ビールに口つけた。 、
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