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本人も気にしてないみたいだし、すぐ女が出来てることから女もこいつがそういう奴だってのは分かって付き合ってるんだろう…。
だよな……?
黄坂が誰と付き合おうと関係ないが、絹織がその対象となったというなら話は別だ。
しかも俺の想い人だ。そう簡単にあいつに渡すもんか。
「……なんか長々と僕の失態を語られたような気がするんだけど…」
「気のせいだ」
「あー伝説の天才美少女に会える~!」
「はー……」
結局、俺はこいつを追い払うことが出来ず、黄坂を連れて彼女の元へ行くことになった。
「ささっ!」
「………」
「ささっ!さささっ!」
「………………」
俺は咄嗟に後ろを振り返る。
すると、黒尽くめの何者かが道の端を歩いていたが、俺の視線に気付き、サッと電柱の後ろに隠れる。
「今から紫小里さんのところへ参られるご様子ですわ…。ふふふふ…。和白、昨日はまんまと逃げられてしまいましたが、今回はそうはいかなくってよ!」
……小声、のつもりだろうか。話しの隅々まで聞こえる音量でしゃべる紅。
俺はあえて気付いていないフリをして絹織家へずんずん進んでいく。
学校から歩いて三十分弱。ようやく絹織のアパートに到着した。
「……優等生の住処にしちゃあ、…意外というか……」
お前、漫画の読み過ぎだっての。
「なんだ、文句あるなら帰ってもいいぞ」
「んなっ!!ここまで来たのにそう簡単に引き下がれるかっての!!」
「……こういうところは頑固なんだから…」
呆れて俺はそのまま彼女の住居に向かって歩いていく。
そして彼女のネームプレートが付いた扉、二一〇号室まで来て、インターフォンを押した。
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