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~*~
『高校一年の時にいじめを受けていたらしくって…。私たち夫婦は気付けず…そしたら急に部屋に閉じこもって…もしかしたら、って思って学校側に連絡取り入れて、なんとか対応してくれたみたいなのですが、それでも出てこなくって…。心配して最悪な事態を覚悟して部屋を覗いたら…。想像つかない状態がそこにあって…オタクっていうんですかね。それになった娘を見て旦那は撃沈して…。そのままどこかに行ってしまいました…。でも、娘がああなってしまったのは私たちのせいかも知れません…。』
細々と話す絹織の母親、絹織千恵子(ちえこ)さんの瞳からはうっすら涙が浮かんでいた。
あんなオタクでも複雑な事情を抱えていることを知ってしまった俺だが、だからといって彼女にやってやれることがあるのか、と聞かれても何も答えられない。
そのいじめ問題も起こっている最中ならなんとか庇えたかもしれないけども、それも過去の話になってしまった。
「…俺は…絹織の何になりたいんだ?」
星が瞬く夜空を見上げて小さく呟いた。
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