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すこしイラッとした俺は大きな声で話しかける。
「おい!絹織!」
「ちいこちゃそが現実にいたらどんな匂いがするのでござろうな…はあ…妄想しただけで絶頂しちゃいそうでふ…」
「きーぬーおーりー!!」
「きっとフローラルな香りに違いないでござる。いや、逆に考えろ、もしお風呂三日入ってなかったら…」
「くせーだろ!!じゃなくておい!!返事しろや!!」
ついツッコミを入れてしまった…。
すると彼女はこちらを向かなかったがようやく反応してくれた。
「分かってないでござるな!!その臭さがたまらないでござろうに!!そして二人でお風呂で洗いっこ…んふー!!!最高のイベントがはじまるでござるぞ!!!」
「確かにいいかもな…ってちげえよ!!こっちの話聞けや!!!いい加減キレるぞ!!!」
…一瞬同意してしまった俺…、情けないな…。
…とにかく、俺はそう叫ぶと、ふいっと彼女はこちらに顔を向けた。
その瞬間、俺は息をのんだ。
世界が停止した、と言っても過言ではないと思う。
ふわり、とボブショートの下から伸びる長い髪をなびかせ、まん丸な瞳にバサバサまつげ、頬はほんのり紅く、かわいい美少女なんてこの世にはいないと思ってたけど、なるほど、こいつみたいな子のことをいうんだろうな、と一人心の中で呟く。
俺は彼女からなかなか目を反らせずにいた。
一目惚れだった。
きっとこの瞬間から、俺はおかしくなったんだと思う。
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