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俺が先公に託された、彼女と先公の唯一の繋がりをこうも簡単に引き裂かれてしまった…。
「ふははははははは!!!どうだ参ったか!!!これでワイは地獄行きの切符を粉砕し、自らの身を守ることに成功したでござるな!!はっはっはっはっは!!!」
高笑いする絹織に怒りを抱き、わなわなと拳を震わせ、彼女を睨んだ。
ビクッと身を震わせ、高笑いは止む。
「なな、な、なんでござるか!や、やるでござるか!あん!?」
ぷるぷる震えながら構える彼女に冷ややかな視線を送る。
それでは…《正 義 執 行 致 す!!》
「……なあ、お前にやった封筒(それ)、宿題の塊だと分かっての行動だろうけどもさ…」
ずんずん、と俺は静かに彼女に近づいていく。
近づく度に彼女は部屋の端に身を引いていく。
「先公はお前を思って、お前を心配して、宿題(これ)をお前に送って来たんだぞ?中身は多分宿題だけじゃない」
散り散りになった残骸の中から一切れの紙を拾い上げ、彼女に見せる。
「……ほら…見てみろ」
彼女は身を縮めながらもそっと俺の手元を見る。
そこには便せんのような縦に線が入ってあり、その間に文字がずらりと上から下に並べられている。
「「皆さん心配してるは」「ことを願ってま」、二つとも明らかに宿題ではないよな?しかも手書きだし」
「………」
シュン、としている彼女を目にし、ふう、と俺は息を吐く。
「…これで分かったろ?だからもうそんな酷いことをするのはやめてちゃんと宿題を出して、単位を出して、願わくば学校に登校して頂ければ幸いなんだがな……」
その方が俺としても嬉しいし、という言葉は我慢して飲み込むことにした。
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