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「……悪の組織の一員、渡辺ティーチャーの差し金…ではないのか…?」
俺の威圧感に怖がっているのか、おそるおそる訪ねてくる絹織。
…木陰に隠れてこっそり顔を出す子猫みたいでかわいいなあ。
俺はそんな彼女の様子を見たおかげか、先程の怒りはとうに消え失せた。
「確かにこの資料を渡すよう命令されてはいたが、学校に来るように伝える、という指示はもらってない」
「……そう」
少し彼女の顔に影が差す。
多少気になったが、急にけろっとした表情になり、
「ではお主のバトル漫画並、いや、ハーレム漫画並の説教ぷりに観念するとしよう。」
「……お、おう………どうゆうことだ?」
「…これだからパンピーくんは苦手なのだ」
はあ~っ、と深い深いため息をあからさまに漏らす彼女。
いやいや、お前が並べてる言語の方がおかしいっての!!日本語しゃべれや!!
「悪の組織の一員から宿題という名の契約書を提出してやろうと言ったのでござる!!」
ふんっとそっぽを向きつーんとした態度を取る絹織。
おおお……!!生で初めて見たぞ!!
これが「ツンデレ」というものか!!
「クスッ、ならいい。でも単なる口約束じゃあ信用ならないから、俺が毎日ちゃんと出すか見てやるからな」
「ファッ!?」
腕をクロスにし、両手はきつねさんを作って(人差し指と小指を立てて残りの指先をくっつけるやつ)ひょっとこ顔になり、とても驚いているのが分かる。
「つまり俺が学校とお前、絹織の梯子(はしご)になるってわけだ」
「そ、それはいやでおじゃるうううーーっ!!!」
わああああ、と俺の胸に飛び込みぽかぽか殴り込む。
……あー、………なんというか……。
かわいいです、とても。はい。
彼女の拳は大きな耳かきの綿の部分を押し付けてくるような、とても軽く痛くないものだった。
だから余計愛おしく思えてしまう。
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