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初めはちょっとした、真反対の存在への興味だった。きっとそうだ。そんな重い感情があったわけじゃ・・・ない。
・・・けど、話すにつれ、聞くにつれ、触れるにつれー・・・、順序逆だし、ー・・・信じてもらえないかもしれないけど。
俺、郁人に恋をしてしまった。俺はしがない一デザイン屋。あっちはエリート検事先生。
ーー・・・なのに 俺は。
飛び込みで入ってきた仕事に追われるうちに、あっという間に10日近く過ぎた。例の件も、つつがなく終わった。・・・俺に出来る精一杯の仁義のつもりだ。
『気をつけろよ・・・あいつ どうやらお前に逆恨みしてるみたいだぜ?』昔一緒につるんでた電気工のユタカの忠告。大翔が俺にそういうつもりでいるんなら、もうそれはそれで仕方ないだろう。
竜也も戻ってくるワケじゃないだろうし、今ならなにかあっても迷惑かける奴いないし。
・・・そう、あの人も、俺のそばなんかにいちゃいけない人なんだよな。 浮かんだのは当然、郁人の姿。
俺の名前を呼ぶ潤んだ瞳。
必死にしがみついてくる腕。
そしてー・・・、
なにもかもがまざまざと一瞬で蘇る。首を振って必死に打ち消す。
あの人には、あの人の暮らす世界がある。・・・俺なんかと違う、まさに天上のー・・・
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