世界の果てで、君に番外編・聖太郎サイド1

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ー・・・今回のコンペ、大翔、割と本気だったみたいだ。この頃あんましゃべることも無かったけど、打ち合わせに行ったデザイン会社で偶然遭った時、そのコンペに出品するって他の奴と話してた。 ー・・・それを、鼻につく俺にかっさらわれていったとしたら・・・、やっぱ腹も立つだろうな。 俺でもきっとそう思うだろう。仕方ない。 俺は、大翔の罪を被ることに決めた。 警察でさんざ絞られて。とにかく罪を認めてれば良いんだろう。後は裁判で『反省してます』って頭下げてれば実刑食らわずに済むかも。・・・でも、もうデザイナーとしては難しいかもしれないな、と半ば覚悟は決めていた。ー・・・いっそ海外でボランティア的なことして暮らすのも悪くないかな、って。 警察での一通りのイベントが2日かけて終わったら、今度は検察で取り調べやるんだよな。・・・しかも、今度は10日だぜ!? ・・・なんつーの・・・もうさ、かったりぃ。どうでもいいから早く終わらせてほしい。 こっちは罪を認めてるんだからさぁー・・・。 『私が君の事案を担当する 相楽 郁人です』事務的な文言とは裏腹な、柔らかい口調。ー・・・そうだね、第一印象は良いトコのぼんぼんって感じ。・・・年は・・・30前後、ってとこか。 『ギャラ交渉で揉めた って書いてあるけど 君の立場からしたら無償でも引き受けたいような案件じゃないの? それを履歴に次の仕事につながるじゃないか』 『クライアントの事務所に夜 忍び込んだって言ってたけど その気なら打ち合わせの時にでもこっそり盗んで来られたんじゃないのかな?・・・どうも納得行かないんだよね』 ・・・なんかこの検事さん、細かいと言うかねちっこいと言うか。視点が妙に鋭い。答えるこっちも気を張らないと、嘘がばれちゃいそうなー・・・。 『はっきり言うと 私は君が犯人とはどうしても思えないんだ この疑問が晴れるまでじっくり調べさせてもらうから』
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