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お節介センセが、俺を前に、書類を読み上げてる。・・・結局俺の負けだった。
相楽センセは、大翔が真犯人だという証拠を探し出した。後から聞いたけど、普通は検事が証拠探しするときは警察に再捜査させるのが普通らしい。けど、このセンセは自分で現場に行って、あーだこーだと調べたらしい。捜査権限ってのが、警察とは別に検事にも認められてるんだって。けどそんなことやってる検事なんて、いないって後から知ったけど。ー・・・大翔が乗ってたスクーターの塗料がどうの、とか言ってたっけ。
『・・・ホント お節介だな あんた・・・・でも ありがと』挨拶はそれが精一杯だった。
本当は俺も嘘をついてたワケで、厳密に言えば“犯人隠避”ってヤツになるんだろう。・・・けど、そこら辺は大岡裁的にオマケしてくれたってトコなのかな。ー・・・こんな小物をこれ以上いじっても仕方ない、と思ったのかもしれないけど。 だからお礼なり何なり、もっと言うべき事があったはず。…けどさ、あのお節介センセはとっても嬉しそうに、まるで自分の事みたいに満面の笑みでまっすぐに俺の目を見てくるもんだからー・・・。
でも、それで終わり。
俺の嫌疑は晴れたけど、結局大翔は捕まっちまったし・・・決まりかけてた新規の仕事は、流れちゃったし。
俺が犯人じゃなくても、噂だけでも嫌がられるから。仕方ない。デザイナーってホント、芸能人みたいな仕事だよな。
『・・・じゃ 君の意向は向こうに伝えておくから』『お願いします』
五日後。前々からお世話になってるデザインスタジオのプロデューサーに一つ、頼みごとをした後、
少しブラつきたくなって渋谷の街へ。
ー・・・取り急ぎ、やらなきゃならないことはないし、晩飯食べたらコンテスト用の作品でも手がけるか
ぼやっと考えながらそろそろ帰ろうかと家へ向かってたら、目の前に見知った顔が。
『相楽センセ・・・!』
品の良い濃紺のスーツに緑のレジメンタルタイ。いかにも、ってカッコで、こちらに目線を移したセンセは、まさにハトマメ顔。
『・・・伊丹君?』
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