世界の果てで、君に番外編・聖太郎サイド1

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『伊丹君はデザイナーになって6年なんだ・・・デザイン会社でバイトして学校にも行かずに独学でだなんて・・・凄いよ』今日二回目の【凄いよ】攻撃。・・・ホント、このセンセってば・・・。 俺の仕事の話なんか、うんうん頷きながら聞いてくれて。・・・ヤバ 目が。神クラス的にピュアなんだよね。だからニガテなんだって、そういうの。 『俺なんかの考え センセにはお見通しだったみたいだね・・・ホント 忙しいのに手間取らせちゃって悪かったね』センセにビール勧めてみた。ちょうど俺、飲みたかったから。・・・体調悪いときに大丈夫かな、とも思ったけど、センセ、かえって気持ち良さそうだ。俺が残りのひとあおりしたとき、 『そんなことないよ 伊丹君は優しいんだ・・・今回の事件で 自白したのだって友達を庇おうとしたんだろう?』 センセの超ムキな顔。・・・俺を思いっきり励まそうとしてくれてる。有名私立大学出身。しかも検事。いわゆる超がつくエリート。その人が渋谷のゴロツキ上がりの俺に、こんなにも全面で好意を示してくれるなんてー・・・。 俺、ちょっと数秒間、フリーズしたかもしれない。 『伊丹君は偉いよ・・・それに比べて 俺は・・・  なんだか流されるまま人生を歩んできたっていうか・・・親に勉強しろって言われて・・・それに従って高校 大学って進んで・・・検察官になったのだって親戚の叔父さんが検事だったから真似ただけっていうか・・・なにかを犠牲にしてまで選び取ったものなんて・・・なにも無かったかもしれない』 ・・・あれ?センセ、もしかしてお酒弱い? 愚痴、とまではいかないけど、いきなり大反省会を始めてしまった相楽センセは、自分の頭を掻きむしりながらしゃべり場的な雰囲気を醸し出している。『・・・て なに言ってるんだろ 俺・・・酔ってるのかな・・・?』 可愛いなこの人。ー・・・素直にそう感じた。ふと、俺の中のいたずらっ子的な部分が騒ぎ出しー・・・ 『キスしていいの?』 未だ頭を抱えたままのセンセに10センチの位置まで顔を近づけた。声に気づいたセンセ、まさに一瞬、目が点。 『え・・・えぇ?!』 ベッドに座ってたセンセ、思わず後ろにのけぞってた。残ったビール、こぼさないようにわたわたと。
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