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「貴方は王子です! 御身に何かあったらどうするのですか・・・っ!」
頬を伝って涙がボタボタと落ちる。
「――その時は、第2王位継承権を持つ従弟が王になるであろうな。」
(・・・いや、そういうことじゃなくてな。)
この王子は何処かズレている。
「だが――」
王子は腕を伸ばすと、服の袖でエレインの涙を拭(ぬぐ)った。
「我は王になるからこそ、これまで多くの特権を得、多くの者から教えを受けてきたのだ。
おかげでやりたいことも山積しておる、そう易々と玉座を明け渡すつもりはない。」
エレインと王子の視線が交わる。
それから、王子の眼差しがふ、と和(やわ)らいだ。
「・・・よもや我を守ろうとする女子(おなご)がいようとは。」
「! あ、あれは必死で・・・っ」
何も考えていなかったんです、とエレインは顔を赤らめる。
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