卒業前夜

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『言わなかったのはその、ゴメン。でも、』 『――ザック。良いことを教えてあげるわ。』 一通りの物を空間ボックスに突っ込み、アリスは大きく息を吐く。 それからポニーテールにしていたリボンをシュルリと解(ほど)くと、リボンを持った手を空間ボックスに入れ、パッと離した。 『私がいれば、箔がつく。見るからに上級貴族ですもの、私が行けば、フォーリア国が本腰を入れてアルソンフォを支援しようとしているって、信じてくれるんじゃないかしら。』 『...それは、そうかもしれない、けど、』 『――それに、』 首元で光っているネックレスを外すと、これも空間ボックスに。 ネックレスは音もなく吸い込まれていく。 『私、アルソンフォ語が分かるわよ。通訳の問題もこれで解決ね。』 『...アルソンフォ、語...』 『ザックはアルソンフォ語が分かる?』 『...ええと、「こんにちは」と「ありがとう」くらいなら...』 『うんうん、会話の基本よね。でもそれだけで意思の疎通は難しいんじゃないかしら。王族や貴族、官僚くらいなら共通言語が話せるから問題ないでしょうけど、一般庶民はそうはいかないわよ。ザックは数年住んでいて、上流階級の人としか会わない予定なの?』 『いや...』
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