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JRと富士急を乗り継いで河口湖駅へ、そこからバスで青木ヶ原停留所で下車してひたすら徒歩。
突然現れるプラカードの表記が「思い留まれ」「引き返せ」とちょっと重目の言葉が書かれている、思いつめて此処に着てしまった者達に向けたメッセージだ。
肝試しに来たわけではないと自ら鼓舞した。
一時間も歩くと標高のせいか暑さは和らいでくれたが、体力気力共に限界を感じていた、歩の速度が著しく低下する、それはそうだ研究室ではいつも教授にこき使われているとはいえ、トレッキングなど初めてのか弱い女子大生なのだ、体育学科なら分かるんだよ、山歩きにおける有酸素運動とマイナスイオンの関係とか。
相反してボヤきが多くなっていた。
進む道は依然無情な登り坂と鬱蒼とした森、更に道は細く殆ど獣道になってようやく私は気がついた。
「迷ってしまったか」
徐にスマホを取り出しナビを見る。
「現在地の表示がない」
驚いた事に通話もなにもかも圏外だった。
この場所で迷子はマズい、遭難とかしたらシャレにならない。
道を引き返そうか悩んでいた時だった。
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