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キャハ、アハハ、キャハハ
今、声が聞こえた、茂みの向こう。
道から外れてしまうが、確かめる事にした、私はブッシュを掻き分け声のした方に進んだ。
「キャハハ、アハハ、キャハハハ」
はっきりと聞こえた、しかも子供のはしゃぐ声だ、こんな所で子供とは、目的地の施設となんら関係しているのかもと思い、更に進んだ、すると深い森に差し込んだ日の光を反射させ、木々の間に輝いて見えたそれは。
「水、池」
見える範囲では25メートルプール位、自然な池なのか人工的な用水池なのかは分からないが水は澄んでいるようだ。
私はもっと側に行ってみたく、足を踏み込んだ。
「お止めなさいっ」
「え!?」
池から何羽かの鳥が飛び出した、私と同様に驚いたのだろう。
それは真っ青な羽をした見たこともない鳥だった。
一瞬見届けた後、振り向いて声の主を確認する。
女性だった。
30代から40代、優しいお母さんという印象、しかしその体裁で分かった、この女性が真理亜さんだと。
あまりにも場違いな白く清潔な修道服を着ていたその女性は私に突っかかるように言ってきた。
「貴女、その池が底無し沼だと知っていて入ろうと思ったのですか」
どうやら私を自殺しにきた者とでも思ったのだろう。
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