冬に終わるというけれど。

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 私、杉田奈都という女は生きるリズムが世の中とは少しずれているらしかった。    空気が読めないというわけではなく、ただタイミングが悪いせいで上手くいかないことがあった。    そのせいか、私には講義を一緒に受ける友人というものがいなかった。      悩みを相談するような友人もいなかった。   人と話さないわけではないんだがどうにもタイミングが合わないのだ。    確かに私は少しゆっくりと話す。  忙しい彼女たちは私に合わせていられないだけなのだろう。  しかし、唯一私が私のリズムで話しても問題のない場所があった。    ネットだ。    最近はやりのSNSではなくありきたりなブログではあるが、その一方通行なやり取りは私のリズムに合っていた。  私は毎日くだらないことを書いていたが、長く続けるとある程度の読者がついて私の考えについてコメントをくれるのだ。  私は決して話すことが嫌いなわけではなかったので、そうした読者とゆっくりとした流れの中で話すのが心地よかった。  ブログを書き始めて二年がたった。    大学も三年になり、そろそろ社会のことを意識し始めた二月。    ブログによくコメントしてくれる新島さんが会って話がしたいという旨のメールを送ってきた。  私はひどく動揺すると共に期待を抱いた。    この人は私と同じリズムで話してくれるかもしれない。    そう思った私は新島さんだけではなく他の読者とも会ってみたくなり、メールが来た日のうちに読者限定記事で集まってみないかという記事を書いた。    計画も何もないけれど私の胸は躍っていた。  少し早い春の予感だった。        
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