ある夏の暑い日のこと

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彼女は心臓に難病を抱えている。 慢性的に進行し、心臓の機能が弱っていく病気だ。 原因がわからず、今のところ進行を止めるすべもないそうだ。 先程彼女の言った 「いつもどおり」 は、決して調子が良いことを指してはいない。 こんな風に話をしている間にも、彼女の心臓はゆっくり、でも着実に弱くなっていく。 正直、いつ何が起こっても不思議ではない。 だから僕は、毎日部屋をノックし確かめるんだ。 彼女がまだ、ここにいるということを。
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