0人が本棚に入れています
本棚に追加
「それにしてもレギュラーかー、いっぱい頑張ってたもんねぇ。」
彼女が頷きながら、話を続けた。
「まだ、レギュラーじゃないって。」
「んーん、なるの。確定させたの。」
イタズラを含んだような笑顔で彼女は答える。
「ワタシが見に行くんだから、完全試合ぐらいやってよねぇ。」
「とんだ無茶をおっしゃる・・・。」
「アハハ、でも弱気じゃダメだよー?」
人差し指を口にあて、何か考えているのか上をみていた。
「まずはレギュラーになって、その次は、7番でエース!」
「4番でエースじゃないんだな・・・。」
無理だとわかっていても、少し残念な気持ちになるのはなぜだろう?
「ラッキーセブンだねぇ、それでそれで、次はいよいよ公式戦!!」
「春の大会らへんかな?」
「そうそう、ピンチになると冷静にポケットからハンカチを取り出すんだよ!」
「あれ、なんだろうその既視感。」
僕は王子にはなれそうもないな・・・。
「ハンカチいる?」
「いりません。」
「エヘヘ、それでね、その大会では惜しくも負けちゃうんだー。」
「ありゃりゃ、そりゃ残念。」
笑顔のままで話を続ける。
「だけど、実力をつけた我が校は、いよいよ夢の舞台、夏の甲子園へ!!」
「甲子園・・・。」
その言葉を聞いて、僕は次の台詞を見つけることができなかった。
最初のコメントを投稿しよう!