棚機津女

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彦星は織姫を助けようと7月7日にカササギが橋を架けた時を見計らい天の川を越えたが笹の壁が行く手を遮り、織姫はおろか、織姫の村にすら入ることが出来ませんでした。 彦星は悲しみのあまり牛の世話をしなくなってしまいました。 織姫をさらった天帝は、織姫に嫁になるよう迫りましたが織姫は頑なに拒みました。あまりに拒むので天帝は織姫を水辺の機屋に閉じ込め、得意な機織りをするよう命じました。 けれども織姫は機を織りませんでした。 天帝はますます怒り、その怒りは村に災害をもたらしました。 織姫は機屋の窓からその光景を見て天帝に怒りを表します。 「あなたはどうしてそんなに酷い事が出来るの?」 天帝は言いました。 「誰も俺を愛してはくれない。だから俺だけを愛せるように他のものを壊すのだ」 織姫は天帝を哀れみました。 「誰かを愛する心を持たなければ誰もあなたを愛してはくれない」 織姫の想いに、けれども天帝は変わりませんでした。 ある夜、織姫は天帝の隙を見て機屋から抜け出し、こっそり彦星に会いに行こうとしました。 けれども彦星の村へと続く天の川の前には笹の壁が立ちはだかり織姫を通しませんでした。 織姫は必死に笹を掴むと天帝が現れ、織姫は見付かってしまいました。 「その笹は俺が造った物、触れれば俺に伝わる」 織姫は再び天帝に連れ去られてしまいました。 天帝は織姫の行動が理解出来ませんでした。どうして自分に逆らうのか、どうして罰を受けるかもしれないのに出て行ったのか。 織姫は答えました。 「彦星に会いたいのです。私は彼を想っています。」 天帝はますます分かりませんでした。なぜ想いを寄せれば会いたくなるのか。 けれども天帝は気が付きました。天帝もまた織姫を手中に納めようとしている。しかし違う、会いたいという感情ではなく俺は逆らうことを許さないだけだ。 天帝は織姫を再び水辺の機屋に閉じ込めました。 織姫は悲しみに涙し、それは催涙雨となって村に降り注ぎ催涙雨を浴びた村人達は織姫の想いを感じました。 村人達は織姫の想いを天帝に伝える為に短冊に願いを書き天帝が造った笹にこよりで吊るしました。 きっと願いが届きますように 笹に吊るされた短冊は直ぐ様天帝に届きました。
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